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部門紹介
コンペティション
秋に登場する世界の新作の中から、突出した個性を持つ監督の新作を集めていくのがコンペティションです。今年も特別なバックグラウンドを持つ新人から、充実のベテランまで、様々なキャリアの監督が集まります。さらに東京のコンペで意識することは、世界を広く網羅することです。激動を続ける世界を知るために、映画以上に有効な手段はありません。西欧、北欧、東欧、北米、南米、西アジア、そして東アジアと日本を含み、コンペ全体でひとつの地球儀を構成しています。あくまで映画としての醍醐味、刺激、娯楽性に優れていることを重視したうえで、その地ならではの社会性、現代性が反映された作品が揃っています。移民や難民問題が重大事である状況と比例して、これらの問題に触れる作品は洋の東西を問わず激増しており、優れた作品は必然的に現実を深く刻印しています。移民出身の男がパリの歓楽街でいかにのし上がるか、リストラで揺れる工場でイタリアの女性労働者はいかに団結するか、少数民族出身のスウェーデンの少女はいかに外の世界に脱出するか、イランの夫婦は第2子の妊娠を巡って合意するだろうか、フィリピンのドラァグクイーンは望み通りの死を迎えられるだろうか、ルーマニアの新聞記者は取材のモラルを維持できるだろうか…。世界中で繰り広げられる、社会と個人の葛藤。それを映画はいかに見つめるか。そして我々はいかに見つめるか。試されるのは、世界に対する我々のスタンスなのです。
プログラミング・ディレクター
矢田部吉彦
アジアの未来
2013年の第26回TIFFからスタートした「アジアの未来」部門も今年で4回目を迎えます。アジア地域(日本・中東を含む)の新鋭監督たちが競い合うヤング・シネマ・コンペティションとしてすっかり定着しました。過去3回の作品賞は中国、イラン、タイの作品が受賞。今年もワールド・プレミア(世界初上映)が5本、インターナショナル・プレミア(製作国以外での初上映)が5本とフレッシュな作品が並びます。東アジアの日中韓から中東のイスラエルまで、明日の巨匠たちをお見逃しなく!
プログラミング・ディレクター
石坂健治
日本映画スプラッシュ
活況を呈する日本のインディペンデント映画を応援する部門です。3度目の参加となる今泉力哉が死生観を織り込んだ新境地を見せるコメディドラマ、唯一無二の個性を持ち1作ごとに世界が深化する渡辺紘文、コメディ演劇の映画化に果敢に挑戦する山内ケンジ、沖縄を舞台に11年ぶりの新作を完成させた新藤風、長年の助監督経験を活かし名監督への道を歩み始めた菊地健雄、そして新人は、『百円の恋』の脚本で一世を風靡した足立紳、フレッシュなスターを配して勢いに乗る中村祐太郎、そして堅実なドラマ作りが新人離れした春本雄二郎の3監督。今年はさらにアウト・オブ・コンペとして、話題騒然必至の特別オールナイトも実施し、日本のインディー映画の幅の広さを伝えて盛り上がります。
特別招待作品
特別招待作品部門は、主に、今後公開される注目作を紹介する部門で、国内外のゲストが多数来場し、映画祭を大いに盛り上げます。オープニング作品の『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』は名匠スティーヴン・フリアーズ監督の感動ドラマで、実在した“伝説”のソプラノ歌手マダム・フローレンスの物語です。このタイトルロールを演じるのがメリル・ストリープで、大変な難役を軽々と演じており、圧倒されます。そして、クロージング作品『聖の青春』は、注目の若手監督・森義隆による、棋士・村山聖の将棋に賭けた青春を描く、こちらも感動の実話です。村山聖役の松山ケンイチの渾身の演技には目を見張るものがあります。この2作を初め、カンヌ、ヴェネチア、トロントの各映画祭で話題になった洋画作品や、華やかなゲストが揃う邦画作品を集めることができました。これらの作品に、ぜひ、ご期待ください。
ワールド・フォーカス
海外の映画祭での受賞作や、有名監督新作などの話題作の中から、2016年8月31日時点で日本公開が未定の作品を集めた部門。欧米編では、カンヌ、ロカルノ、ヴェネチアなどを沸かせた実力派監督の傑作が揃う。ブラジルのフィリオ、フィンランドのクオスマネン、アメリカのニュートン、アルゼンチンのドゥプラットとコーンは、今年注目すべき新たな才能。TIFFが応援してきたブルガリアのグロゼヴァとヴァルチャノフ、日本で紹介が進むマンシオン=シャールがそれぞれ充実の新作。チェコのフジェベイク、ルーマニアのプイユ、ポルトガルのロドリゲスがさすがの傑作を引っ提げ、さらにはフランスのジャコとボネロ、オーストリアのザイドルらの名匠・鬼才が驚きの問題作を世に問う。1本も見逃せない!
プログラミング・ディレクター
矢田部吉彦(欧米作品担当)
今年のアジア・中東作品には“スペシャル”が目白押し。なかでも2本の超長尺映画に注目が集まります。四半世紀ぶりにTIFFに帰ってきた故エドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』は4時間! 去る2月のベルリンで銀熊賞に輝いたラヴ・ディアス監督の『痛ましき謎への子守唄』が8時間! TIFFならではの驚異と感動の映画体験をお約束します。ホン・サンス、ダンテ・ラム、チョン・モンホンらお馴染みの巨匠たちの新作も勢揃い。なお、『そして人生は続く』(TIFF1992コンペ出品)以来の長いお付き合いだったアッバス・キアロスタミ監督のご逝去を悼んで追悼上映をおこないます。心からご冥福をお祈り申しあげます。
プログラミング・ディレクター
石坂健治(アジア/中東作品担当)
国際交流基金アジアセンターpresents
CROSSCUT ASIA #03 カラフル! インドネシア
東京国際映画祭では1980年代から継続的にインドネシア映画を紹介してきました。今回、国際交流基金アジアセンターと共催する本部門で、新世代の息吹をお届けします。良質な娯楽性を追求するイファ・イスファンシャー、若くして次々と注目作を連発するアンガ・ドゥイマス・サソンコ、性的欲望を切り口に、人間の心の奥に迫る「親密さについての3部作」のテディ・スリアアトマジャ、映画界に新風を吹き込むニア・ディナタ、カミラ・アンディニ、モーリー・スリヤら女性映画人の作品を紹介。さらにおなじみリリ・リザ監督の最新作から日本未公開のエドウィンの中編、デジタル修復による映画史上の名作までフォロー。「寛容なるイスラームの国」インドネシアの多様な魅力をご堪能ください!
プログラミング・ディレクター
石坂健治
国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭 co-produce
アジア・オムニバス映画製作シリーズ アジア三面鏡2016:
リフレクションズ
世界的に活躍しているアジアの気鋭監督3名が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクト「アジア三面鏡」。それぞれの時代と文化を反響させ、新しい光を生み出すシリーズ第1弾『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』は、「アジアで共に生きる(Living Together in Asia)」というテーマのもと、様々な国のスタッフ・キャストが結集し、日本とカンボジア、フィリピン、マレーシアの各国間を行きかう人々の生きる姿を映し出しています。映画でアジアの人々がひとつになる、新しい一歩となる作品が誕生しました。
Japan Now
「映画は靴の中の小石でなければならない」と映画監督ラース・フォン・トリアーは言います。
60年前の小津安二郎は、戦後の目覚しい発展を続ける日本を見ながら、“日本の家族”についてその変容と崩壊を『東京物語』で予言しました。映画作家たちはその時代の“今”を多様な物語の中に織り込んで語り、観る者は、その中に自分を探します。今の日本はといえば、戦後と言い続けて既に70年が過ぎました。儘ならぬ経済、隣国との関係、想定外の出来事、将来に対する不安、そして若者たちの閉塞感、それらを色々な角度から表現し提示するのが映画作家であり映画です。
今年も日本を代表する素晴らしい作品が集まりました。どの映画も、“靴の中の小石”となって“日本の今”を語り、日本の文化の天元を示してくれます。
「今こそ海外の方に、日本の“今”を知ってもらい、その中に厳然と存在する日本の美意識、日本人の文化とその魅力を感じてもらう」それが「Japan Now」部門の第一の目的です。
そして、これは、外国の方ばかりにではありません。そこには、日本の方にこそ見つめ直して欲しい真理が在ります。
プログラミング・アドバイザー
安藤紘平
Japan Now 監督特集
映画監督 岩井俊二の世界
Japan Now部門では、今一番世界へ発信したい監督として映画監督・岩井俊二を特集します。
岩井監督は、常に“日本の今”を若い世代の目を通して、彼独特の美意識、価値観、映像美で寓話的に表現する稀有な作家です。岩井美学の大胆な飛躍ともいうべき最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』をはじめ、岩井ワールドの多様な魅力とゲストトークをお楽しみください。
日本映画クラシックス
映画がデジタル時代を迎えた大きな恩恵のひとつに、修復、復元の技術の向上があります。劣化したオリジナルのフィルム素材をデジタル化し、丹念に傷を消し、色調を復元し、最良のクオリティにまで修復することが可能になりました。昨今、名作の復元版上映が世界中の映画祭で話題になっています。東京国際映画祭では、最新の技術を駆使して復元された日本映画の名作をご紹介していきます。甦った思い出の名画、幻の作品を美しい画面と音響でお楽しみください。
第29回東京国際映画祭プレゼンツ
歌舞伎座スペシャルナイト
3回目の今年は、歌舞伎俳優・尾上菊之助さんによる女方の舞踊「鷺娘」の上演と、昭和初期の無声映画『忠臣蔵 デジタル最長版』『血煙高田の馬場』を現代版弁士として喋り屋・古舘伊知郎さんをゲストに迎え、弁士と生演奏付きで上映。これまでとは異なる魅力でお贈りする一夜限りのスペシャルナイト!
ユース
世界の国際映画祭ではティーンズに向けた作品が数多く上映されています。本年度新設されたユース部門で上映する「TIFFティーンズ」の3作品は、今、日本のティーンズに紹介したい世界の秀逸な映画作品をTIFFとKINEKOが厳選しました。
上映後のディスカッションで、自分の感じ方や他の人の捉え方、作品の深さや世界の思想を学び、映画との出会いが新しい自分と、一歩前へ進む原動力となるよう願いを込めたプログラムです。
もちろん、いくつ年を重ねても悩みは尽きませんが、人生や自分自身と向き合い始めたティーンズ時代、作品を通して感じたことを思いっきりディスカションしましょう。
10代の皆さんにこそ観てもらいたいエネルギー溢れる作品の世界観は、きっと人生の指針となり、ディスカッションで想いを言葉にすることは、自信へと繋がると信じています。
プログラミング・アドバイザー
田平美津夫
映画監督 細田守の世界
細田守監督は、日本を代表する映画監督のひとりです。日本流のアニメーション技術と感性で日本の現実を描くことを通じて、全世界の人びとに感動をあたえています。特に『時をかける少女』以後の10年、その成長は名実ともにめざましいものがあります。恋愛・結婚・子育て・家族というモチーフをステップアップさせつつ、観客層を着実に拡大して国内外で数々の賞を獲得し、文化的にもビジネス的にも大きな評価を得ています。アニメーションという《動く絵》の表現には、まだまだ未開の地がある。その実証を続ける挑戦的な姿勢と情熱は、どのように発展していったのでしょうか? 東京国際映画祭では細田守が映画監督になってからの20年の歩みを総合的に上映することで、成長の軌跡を改めてたどります。
プログラミング・アドバイザー
氷川竜介
UCLA映画テレビアーカイブ
復元映画コレクション
本プログラムは2014年「MoMA ニューヨーク近代美術館映画コレクション」、15年「生誕100年 オーソン・ウェルズ―天才の発見」に続く、アメリカ映画のクラシック特集企画です。本年は、映画の本場ハリウッドの近傍にあり、世界的な映画人を輩出する名門大学、UCLAが誇るUCLA映画テレビアーカイブが復元した『荒野の決闘』(46)をはじめとする、サイレントから80年代までのアメリカ映画の古典を取り寄せ上映します。
野外上映 Cinema Arena
今まで東京国際映画祭は六本木ヒルズアリーナで様々なイベントを開催してきました。第29回の今年は、野外上映を敢行します! 「ファンタスティック!アクション!ハリウッド!」は4K・HDRで上映。
また、懐かしい名作を揃えた「ベストヒット80ʼs」に涙する人も⁉ 無料上映なので、どなたでもご覧になれます。これらの作品をご覧になっていない若い方もぜひこの機会に。
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