3度のアカデミー賞受賞を誇る女優メリル・ストリープが主演最新作「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」を携え来日し、東京・六本木で10月24日に会見した。
映画は、音痴ながら音楽の殿堂カーネギーホールでの公演を実現させ、今なお伝説として語り継がれる“最低の歌姫”フローレンス・フォスター・ジェンキンスと、フローレンスを支えたパートナーを描いたヒューマンドラマ。25日に開幕する第29回東京国際映画祭のオープニング上映作品に選出されており、これにあわせて来日したストリープは「前回より2倍くらいの人が来ていて圧倒されています」と笑顔を見せ、「(監督の)スティーブン・フリアーズや、(共演の)ヒュー・グラントにサイモン・ヘルバーグはみんな仕事だったけど、私だけスケジュールが空いていたので来られてよかったです(笑)」とユーモアたっぷりに挨拶した。
「マンマ・ミーア!」や「イントゥ・ザ・ウッズ」で華麗な歌声を披露してきたストリープは、オペラのコーチのもとで2カ月にわたりアリアを正しく歌唱する特訓を積み、「最後の2週間で音程を外す練習をしました」と役づくりを明かす。映画では、もとはニューヨークの音楽シーンを支援するパトロンだったフローレンスが歌手の夢を追い続ける姿を描いているが、「私もいつかは歌手になりたいという夢を追い続けているんです」と意外な告白で報道陣を驚かせた。
終始笑顔を絶やさず、「70代の女性が主人公の映画はハリウッドでは初めてではないかしら。私は実年齢よりもずっと年上のキャラクターを演じたわけですが、なんとかやってのけました」と余裕たっぷり。フローレンスとパートナーのシンクレアは、「芸術に関係していたい、音楽に関わっていたいという夢を分かち合っていました」と解説し、「私たちが夫婦円満なのは夫のおかげ。彼もアーティストなので、私が役作りにのめり込んでしまうことをとてもよく理解してくれるんです」とプライベートについても鷹揚に明かしただけでなく、「昨日訪れた京都では、豆腐が何種類もあって本当に驚きました」と気さくな素顔ものぞかせた。
「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」は12月1日公開。