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2016.10.26 [イベントレポート]
「女性であって人間である。正しい女性、正しい人間。それを自分達は描こうとしました。」 コンペティション『7分間』-10/25(火):Q&A

7Minutes

©2016 TIFF

10/25(火)コンペティション『7分間』の上映後、オッタヴィア・ピッコロ(女優)、アンブラ・アンジョリーニ(女優)、ヴィンチェンツォ・ボノボ(プロダクションマネージャー)をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
オッタヴィア・ピッコロさん(以下ピッコロさん):こんばんは。私は残念ながら日本語は喋れません、英語もちょっとしか話せません、イタリア語だけ喋れます(笑)そして、アンブラ・アンジョリーニさんは今むかっている途中です。はやく来てくれることを望んでいます。
 
司会:それでは先にお伺いします。ピッコロさんは舞台でもこの『7分間』を演じていらっしゃっていますが、ミケーレ・プラチド監督によって映画化されたプロセスを教えていただけますか?
 
ピッコロさん:ミケーレ・プラチド監督はこの作品の舞台を見てはいないようです。しかし、原作を読んで、原作者を信じてくださり、脚本を一緒に作り映画化しました。
監督は映画化する際に、映画の役者さんを選んでいたので、舞台で共演した方々と映画で共演できなかったことは残念でした。この映画は仕事と女性について語られていますが、イタリアではあまり触れられないテーマになっています。
 
司会:プラチド監督からピッコロさんへ、リーダーの役は初めからオファーがあったということでしょうか?
 
ピッコロさん:はい、そうですね。それは本当です。
 
Q:日本人が見てもとても泣ける映画です。ピッコロさんのことは日本人の我々もよく知っています。「山猫」の小さな女の子や、70年代にはフランス映画にも出ていらっしゃいましたね。
 
ピッコロさん:この映画の意味は、世界中の人々に伝わるものだと思っています。東京のお客さんにもイタリアと同じように伝わることを願っています。仕事の問題は今世界中の問題ですし、残念ながら今向かっている方向は必ずしも自分たちが考えていた方向には向かっていないと思います。
 
Q:70年代の若くて可愛らしいイメージと今回のハードな強いイメージが同一線上にあるのはとても面白いと思いました。映画と舞台ではどういう違いをもって演じていらっしゃいますか?
 
ピッコロさん:私はこの仕事を11歳のころから始めています。それは舞台の仕事でした。映画の最初の役は山猫でした。そのときからずっと続けていて、もちろん役は年齢と共に変わっていって色々な役を演じています。最近30年間は舞台の仕事が多いです。それは舞台が好きということもありますが、映画の場合は誰かから声をかけられるのを待たなければならないということもあります。この役は強い女性ですが、自分がそうありたいと思う女性像です。強い女性であって、しばしば男性よりも強いということがいえると思います。
 
司会:只今ご到着されましたアンブラ・アンジョリーニさんとプロダクションマネージャーのヴィンチェント・ボノボさんからご挨拶いただきましょう。
 
アンブラ・アンジョリーニさん(以下アンジョリーニさん):今回が初めてですが、これだけ素晴らしい映画を持ってくることができてとても嬉しいです。この映画は女性の尊厳や価値と共に戦う人たちの尊厳や価値についても語っています。それは自分たちの権利を守る、そういう人々の話なので、この話を気に入っていただけたら嬉しいです。
 
ヴィンチェンツォ・ボノボさん(以下ボノボさん):こんばんは。東京に、この二人の美しい女性たちを連れて来ることができて嬉しいです。この映画を気に入っていただけたらと思います。いい映画とは必ずなにか伝わるものがあると思いますし、特にこの映画の場合、非常に大切なメッセージを伝えてくれると思います。
 
Q:事実に基づく物語だということですが、実際のこの事件の結果はどうなったのでしょうか?
 
ピッコロさん:この戯曲の原作をかかれたステファノ・マッシーニさんは2013年にこの作品を書かれたのですがフランスのオート=ロワール県で起きた事実に基づいています。そこの女子工場員達が工場占拠したのですが、映画で描かれていたように工員達の休み時間を7分削るというオファーに対しての拒否の占拠でした。舞台版のアレッサンドロ・ガスマン監督もこの映画のミケーレ・プラチド監督も舞台をイタリアに移しましたが、この問題はどこでも起こりうる問題だと思います。
 
Q:女性のそれぞれの年齢のステージにおけるさまざまな問題がすべてこの映画のなかに凝縮されていて、大変感動しました。今回お芝居を演じるに当たって繊維工場で働く女性工員として、よくあるタイプの人物を創ってみよう、という工夫はされたのでしょうか?
 
アンジョリーニさん:女性工員の話ですが、ステレオタイプな人物像を描こうとは思いませんでした。正しい女性、正しい人間。それを自分達は描こうとしました。女性であって人間である。彼女たちは仕事をする必要があって、仕事を守るためならなんでもするというタイプの女性達であったりしますが、自分達が役を演じるにあたって女優としてではなく、女性である、ということを求めました。そこに真実があると思ったからです。
 
ピッコロさん:ミケーレ・プラチド監督は非常に読む力が強い方で、女優ではなく、やはり女性、そのなかの人間性を描こうとして、でも女優のなかにある真実というものも掴み出すことができるわけです。女優を超えて人間としての真実を描き出すことができました。そこが、この映画で自分が1番愛したところです。
 
Q: 舞台とは異なる、映画としてのキャスティングをされたということでしたがフィオレッラ・マンノイアという私は大変有名な歌手であると思っているのですが、なぜ彼女がキャスティングされたのか教えてください。
 
司会:ちなみにマンノイアさんが演じたのは、ビアンカと同じ工場で働いている30年来の同僚の方です。
 
ボノボさん:プラチド監督がマンノイアさんを選んだのは、彼女は非常に有名な、大変すばらしい歌手ですので、役者としても素晴らしいのではないかと考えました。その役にはマンノイアさんがぴったりだと、疑いなく完璧にできると考えたのでマンノイアさんに依頼しました。もう一つはマンノイアさんがこういうこともできるという新しい心境を超えることができるというふうに考えたからです。
 
ピッコロさん:マンノイアさんは非常に素晴らしくて謙虚な女性なのですが、この役を演じるにあたって自分にできるのだろうか、とずっと演じている間も心配していたそうです。でも、本当に素晴らしい演技をしてくれました。

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