第1次産業に従事する人々をテーマに描いた「種まく旅人」シリーズ第3弾「種まく旅人 夢のつぎ木」が10月28日、第29回東京国際映画祭の特別招待作品として上映され、共演した高梨臨と斎藤工がTOHOシネマズ六本木ヒルズでの舞台挨拶に出席した。
映画は、全国屈指の桃の名産地として知られる岡山・赤磐市が舞台。市役所勤めをしながら実家の畑で桃を育てる彩音(高梨)と、農林水産省の若き官僚・治(斎藤)が距離を縮めていく姿を映し出す。
メガホンをとった佐々部清監督はスケジュールの都合で欠席したが、ビデオメッセージが届けられた。「去年の夏、炎天下で工と臨ちゃんと汗を流しながら撮影したのを、懐かしく思います。赤磐に行ってみたい、桃が食べたいと思っていただけたら、この映画は成功だと思います。大ヒットしたら、臨ちゃん、キスでもしてみますか」。この発言に、高梨は「本気で言っているのか、冗談なのか全然わからない」と苦笑しきりだった。
それでも高梨は、「大ヒットしてほしいですね」と話し、「佐々部監督は愛のある人で、それがビデオからも伝わってきます。(撮影当時)家族みたいに受け入れてくれました」と感謝をにじませる。そして「佐々部組の皆さんによって幸せな気持ちにしてもらいました。女優人生でも大きな経験になりました」と充実の面持ちで、斎藤も「撮影、美術など含め、日本映画を引っ張ってきた方々ばかり。アシスタントの若いエネルギーもあるチームに入れてよかった。映画のなかにも、その体温が練り込まれていたと思います」と真摯に語った。
またこの日は、同市のゆるキャラ・あかいわモモちゃんも応援に駆けつけた。高梨は劇中でモモちゃんの中に入るシーンがあるそうで、「すごく頭が重くて大変でした」と振り返る。高梨との共演に、モモちゃんは飛び跳ねながら喜んだが、斎藤は「(東京に来て)都会の水は合わない、と言っています」と勝手に通訳し客席を沸かせた。そんな斎藤は「モモちゃんの頭をかぶりたい?」と聞かれ、「いろんなものをかぶってきたので、やれと言われれば」と満更でもない様子だった。
「種まく旅人 夢のつぎ木」は、11月5日から全国公開。なお第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。