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2016.10.30 [イベントレポート]
渡辺紘文&雄司兄弟『プールサイドマン』で現代の日本人を問う「叩かれるのは覚悟の上」
プールサイドマン  
渡辺紘文監督が脚本・編集・出演を兼ね、実弟の雄司氏がプロデュース・音楽監督を務める「プールサイドマン」が10月29日、第29回東京国際映画祭の「日本映画スプラッシュ」部門でお披露目され、渡辺兄弟と主演のチェリスト・今村樂がTOHOシネマズ六本木ヒルズでの上映後にティーチインを行った。
 
兄弟で映像制作集団「大田原愚豚舎」を設立し、同年の「そして泥船はゆく」、昨年の「七日」も同映画祭に出品。渡辺監督は3作連続での参加に、「僕たちを育ててくれたのは東京国際映画祭であり、来てくれたお客さん。自主映画だけれど、またやって来て皆さんに会いたい」と飽くなき創作意欲をにじませた。
 
「プールサイドマン」は、単調な日々を送るプール監視員が、欠員が出た隣町のプールに出向いたことで味わう不条理を追う。プール監視員の経験がある渡辺監督は、「多面的なテーマを盛り込んだので、無限の解釈をしてほしい。ただ大きなテーマのひとつは、テロリズム、暴力、殺りくの時代に生きている日本人を追究しようということ。叩かれるのは覚悟の上で、かなり強い決意で作った」と全作を通じて一貫している映像表現を強調した。
 
雄司氏も、「兄弟なので、考え方がものすごく似ている。同じ映画を見て、同じニュースに面白いと感じ、そういうものがだんだん蓄積して『ブールサイドマン』になった」と同調。音楽に関しても、「なるべく感情に音楽を乗せたくない。音楽は日常に絶対流れているので、どこにも寄らないせめぎ合いを感じてほしい」と訴えた。
 
今村は雄司氏の高校、大学の先輩という縁での俳優初挑戦で「演技のことはよく分からないので、そこにただいるようにしていればいいのかなと思ってやった。テーマが重いので、まだ僕の中でも消化しきれていない」と苦笑い。だが、渡辺監督は「音楽をやっている人はライブに慣れているから、本番での集中の仕方がすごい。それで助けられたこともある」と称えていた。
 
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。  
 
eiga.com
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