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2016.10.31 [イベントレポート]
多様な性をリアルに描くインドネシアの気鋭監督、自国映画界の実情明かす 『アバウト・ア・ウーマン』
アバウト・ア・ウーマン  
第29回東京国際映画祭「CROSSCUT ASIA #3 カラフル!インドネシア」部門出品作「アバウト・ア・ウーマン」が10月31日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、メガホンをとったテディ・スリアアトマジャ監督と主演のトゥティ・キラナがティーチインを行った。
 
映画は、スリアアトマジャ監督による「親密さについての3部作」の第3作で、老婦人と青年の愛を綴った人間ドラマ。65歳の誕生日を目前にした未亡人ダユは、大邸宅でメイドと平穏な日々を過ごしていた。ところがある日、メイドが家庭の事情で辞めてしまい、娘夫婦から紹介された親戚の青年アビを世話係として雇うことにする。孫ほども年の離れたアビとなかなか打ち解けられずにいたダユだったが、一緒に暮らすうちに淡い恋心を抱きはじめる。
 
多様な性をリアルに描くことで評価を得ているスリアアトマジャ監督だが、2014年に製作された今作は、本国での公開に至っていない。「インドネシアでは、チープなセックスフィルムはよく上映されていて、お金にもなります。しかし、僕のようにセクシュアリティをリアルに描くと、急に検閲官たちが問題視して厳しくなるのです。チープなセックスフィルムは“セックスコメディ”のようなものであり、非現実的なので許されるのかもしれません。しかし現実的になると、上映が難しくなるのが実情です」。
 
それゆえに、スリアアトマジャ監督は「この3部作は僕にとってすごく意味深いものです。このような形で映画祭で上映されたことを大変嬉しく思っています」と、東京国際映画祭と集まった観客に深い謝意を表した。一方のキラナも、「この場に出席させていただいてとても光栄に思います。日本の方々はとても優しく親切で、このような人間になりたいというインスピレーションを与えてくださいました」と来日を喜んだ。
 
また、キラナのキャスティングについてスリアアトマジャ監督は、「当初は別の女優さんにオファーをして脚本も読んでもらっていたのですが、その方が『これは私の役じゃない。絶対にトゥティ・キラナさんに出てもらいなさい』と言われたんです。そしてキラナさんに会った瞬間に気が合いました」と明かし、キラナとほほ笑みを交わしていた。
 
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかで開催。  
 
eiga.com
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