ブルカを被った女子大学生はポップシンガーになる夢を抱いて葛藤している。若い美容師の女性はふたりの男と付き合いながら、小さな町の閉塞空間から脱出したいと思っている。3人の子持ちの主婦はセールスウーマンとしてもうひとつの人生を送っている。55歳の未亡人は電話によるロマンスで性的欲望がよみがえる…。抑圧された4人の女性たちに寄り添いながら彼女たちの自立への葛藤を見据えた、女性監督アランクリター・シュリーワースタウの第2作。シリン役のコーンクナー・セーン・シャルマー(『チャンスをつかめ!』TIFF2009出品)をはじめ女優陣が堅実な演技を披露している。
【監督メッセージ】
私はブルカを着けたことがありません。小さな町にも住んでいません。私の自由を阻害しようとする人もいません。かなりリベラルな中産階級に生まれ、大都市に暮らしています。でも、私の内面には葛藤が常にあり、後ろに引き戻そうとする鎖のようなものを感じるのです。完全に自由だと、感じたことは一度もありません。おそらく自由を夢見る田舎町の女性と、何ら変わらないのだと思います。その女性が秘かに行う反抗は、私の行為でもあります。外からの縛りであろうが、内からの縛りであろうが、鎖は鎖です。