パリを拠点に世界で活躍し、ホウ・シャオシェン、ジャ・ジャンクー等世界の名匠を魅了してきた音楽家・半野喜弘、渾身の監督デビュー作。14年前のパリで、まだ俳優になる前の青木崇高と半野喜弘が出会い本作は生まれた。青木崇高初の長編単独主演作。ヒロインに期待の若手女優・大野いと。本名を隠し、別人としてひっそりと暮らす男。ある夜、突然男に預けられた謎の女。本当の姿を明かさないままふたりは次第に惹かれ合っていくが、お互いの隠された過去が明らかになる時、哀しい運命がふたりを待ち受けていた――。濃厚な色彩、優美な旋律、登場人物の息づかい…。現代の日本映画には稀な質感の映像で紡ぐサスペンスフルな愛の物語。
本名を隠し、‟飯田健次”という別人としてひっそりと暮らす男。人との関わりを拒む彼の過去を知る者は、誰もいない。ある夜、突然同僚が家にやってきて、無理やり健次に女を預ける。謎の女の登場で、健次の生活が狂いはじめる。なぜ、女は健次の前に現れたのか。お互いに本当の姿を明かさないまま、次第に惹かれ合っていくふたり。しかし、隠された過去が明らかになるとき、哀しい運命の皮肉がふたりを待ち受けていた――。
【監督メッセージ】
「罪」は気づかぬうちに我々の中に存在し、生きるとは完璧なまでに不公平。私は「他者として生きる」サスペンスの中で、逃れられない喪失を抱えた男女の贖罪を描こうと考えました。ふたりの苦しみと悲しみを通して当たり前の日常の価値を観客に伝えたいのです。音楽家として、ホウ・シャオシェン、ジャ・ジャンクー等の名匠たちと協働し多くを学ぶ一方、自分が求める創作が音楽のみでは表現できなくなってゆきました。私の中で音楽と映像は表裏一体。次の目標が映画製作に向かったのは自然でした。この映画特有の、湿度のある極めてアジア的な色彩と時間の流れ、日本文化の根幹でもある簡略化された表現は、私自身が日本人である証明かもしれません。
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