第29回東京国際映画祭で、国際交流基金アジアセンターによるアジア映画の特集上映「CROSSCUT ASIA」部門。3回目となる今年は「カラフル!インドネシア」を題し同国を代表する10作品を上映。10月28日、「タクシードライバー日誌」のテディ・スリアアトマジャ監督が、TOHOシネマズ六本木ヒルズでの上映後にティーチインを行った。
スリアアトマジャ監督は東京生まれ。自ら「親密さについての3部作」と題した3本を引っ提げての凱旋に、「いろいろな国のいろいろな方に見てもらえる体験は素晴らしい。多くの方に見ていただいて、とてもうれしい」と喜んだ。
「タクシードライバー日誌」はその第2作に当たり、第63回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門にも出品。タクシー運転手の青年が、借金返済のためにしょう婦をしている隣人の女性に思いを寄せていく過程が描かれており、「手掛けたことがないジャンルだったので、チャレンジしたかった。最初は1人の男が女性を救うシンプルな、スーパーヒーローの物語で、脚本は30ページほどしかなかったが、セクシュアリティや宗教観念を加えていった」と説明した。
タクシー運転手を演じたレザ・ラハディアンは、「インドネシアではトム・クルーズのような存在で、こんな低予算のアートハウスな映画は初めてだったが、すごく気に入ってくれて出演を即決してくれた」と満足げ。青年はしょう婦への思いが強すぎるあまりに、予想外の行動に出るが、「強く愛しすぎたり、宗教を信じすぎるという執着によって、人間は平常心を失うということを描きたかった。いかに人間は過酷な状況に追い込まれると、考えられないことをしてしまうんだよ」と明かしていた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催される。