第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「ビッグ・ビッグ・ワールド」が10月31日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、トルコのレハ・エルデム監督、プロデューサーのオメル・アタイが会見した。
青年アリは、離れて暮らす妹を気にかけるが、里親は面会を拒否する。業を煮やしたアリは妹の奪回を企み、極端な行動に走る。森に入った兄妹は、次第に自然と一体化していくさまがアニミズム的な映像美で描かれる。
前々作「Jin」、前作「歌う女たち」に続き、森を舞台に選んだ理由は「森は、私にとって避難をするスペース。そして、私の考える死に対する恐れを表す場所」と説明。そして、「身寄りのない兄と妹が、街から逃れて、新たな自分たちの居場所を求めていく物語」「自分の帰属性を確かめられないふたりが、どこへ行ってもルーツを見出せず、森の中にも危険があり、大都市にもルーツのなさがもたらす問題を見せられると思った」と今作のテーマを語った。
兄のアリ役を演じたベルケ・カラエルの、野性的な存在感が絶賛されると「彼は俳優ではありません。この物語には、純粋でエネルギーを持った顔を必要としました。私は彼をストリートで見つけました。あらかじめシナリオを読ませることもしませんでしたが、本来持つフレッシュさで演じてくれました」と語った。
今作で9作目のタッグとなるアタイ氏は、「レハと作る作品はいつもエキサイティング、映画を作る感動を共有できます。彼との映画製作にいつも満足しています」と笑顔で撮影を振り返った。
東京国際映画祭は11月3日まで開催。