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2016.11.01 [イベントレポート]
「今の若者にも通用する力も持っている。老舎の作品にはそんな魅力があると思いました。」  コンペティション部門 『ミスター・ノープロブレム』 -10/29(土) Q&A

ミスター・ノー・プロブレム

©2016 TIFF

10/29(土)  コンペティション部門『ミスター・ノープロブレム』の上映後、メイ・フォン監督(監督/脚本)、ホウ・グアンミンさん(チーフプロデューサー)、ウー・マンファンさん(プロデューサー)、ディン・イさん(プロデューサー)、ワン・ズートンさん(女優)をお迎えし、Q&Aが行われました。⇒作品詳細
 
メイ・フォン監督(以下監督):皆様、今日は本当にありがとうございます。ここで『ミスター・ノー・プロブレム』を上映していただいて本当に嬉しく思っております。なんと言っても、今日はこの映画のワールドプレミアで、そう言った意味でも感じる度合いが全然違います。非常に感動しております。大変光栄に思います。
ここで日本の映画人の皆様、観客の皆様、そして世界からお越しになった映画ファンの皆様とこうやって一緒に見ることができ、お会いすることができ、本当に嬉しく思います。ありがとうございます。
 
ホウ・グアンミンさん:皆さん、こんにちは(日本語で)。今日は本当に嬉しく思っております。この作品は北京電影学院に所属する青年映画制作所の制作で、出演している人たちやスタッフも、その多くは北京電影学院の卒業生、教師や学生ですので、ここで上映させていただいたことを光栄に思います。
監督、出演者、撮影・美術・録音といった様々な分野のスタッフが結束したことで、いい作品ができたと思いました。我々がこの映画を通して伝えたかったことを十分に伝えきれたと思います。北京電影学院、青年映画制作所の心血を注いだ作品です。
 
ウー・マンファンさん:皆様、こんにちは。今日はこの映画の上映に足をお運びいただきまして、ありがとうございます。私は北京電影学院の管理学院ビジネススクールの学院長をしております、ウー・マンファンです。この作品は北京電影学院の卒業生や先生たち、皆で力を合わせたいいプロジェクトであり、素晴らしい映画に仕上がったと思います。皆様、どうもありがとうございます。
 
ディン・イさん:プロデューサーのディン・イです。今回この映画の制作に参加できたことを心から嬉しく思っております。北京電影学院のホート・アンミン理事長、そして管理学院のウー・マンファン学院長に感謝しています。特にメイ・フォン監督は真剣にこの作品に取り組んでいただき、順調に撮影も進み、このような素晴らしい作品に完成させることができました。私共にとっても光栄なことです。ありがとうございます。
コンペティション作品に選ばれたこと自体も、この作品を評価していただいたということで、とりわけ嬉しく思います。
 
ワン・ズートンさん:こんにちは(日本語で)。ミス・ドンを演じましたワン・ズートンです。この映画に参加して、一緒に東京に来ることができて本当に光栄に思っております。私は今回初めて東京に来て、初めての国際映画祭参加となりました。私はまだ映画を観ていなかったので、会場で皆さんと一緒に映画を観終わったばかりです。本当にすばらしい映画だと思うと同時に、メイ・フォン監督が私にこのような役をくださったことを心から感謝いたします。ありがとうございます。
 
Q:「メイ・フォン」という名前はアジアの映画ファンであれば皆知っている名前ですが、脚本家のメイ・フォンさんが初監督をされるにあたって、ご自分の脚本でなく40年代に書かれた原作を取り上げたその理由をお聞かせください。
 
監督:この作品を選んだのにはいくつかの理由があります。まずひとつは北京電影学院が企画した、北京青年映画制作所の芸術計画プロジェクトの中の一環でした。新学園派という新たな電影学院の人材を活かした映画制作をしていこうという計画の一部です。そして今年は文学者で作家の老舎が亡くなって50周年になります。そのような大作家の文学性の高い作品を映画に撮ってみたいという思いが湧き上がってきました。そしてこの1940年代作品の社会背景、そこからこの作品を撮ってみたいと思ったんです。
 
Q:モノクロの映像美がすごくよかったと思います。屋外の撮影は水墨画のようであり、屋内のシーンはカール・テオドア・ドライヤーの昔の白黒の映像美を想起させるほどの凄さがありました。この撮影における演出上の秘訣を教えてください。
 
監督:ありがとうございます。そのように我々の映画の持つ映像美を感じ取っていただいたことをとても嬉しく感じます。なぜモノクロを採用したかというと、この映画を撮るにあたって、1940年代の様々な資料、紙や映像、いろいろ見ましたが、いわゆる民国の時代の資料はほとんどが白黒でした。その感覚をどのように活かすか、どのような表現方法があの時代にふさわしいか考えた時に、やはりその時代を描くのであれば、モノクロを採用しようと決めました。
 
Q:カメラワークについてお伺いしたいのですが、クローズアップが少ないですよね。撮影プランの意図をお聞かせください。
 
監督:私は北京電影学院の文学部で世界の映画史を教えています。いろいろ映画を観る時にカメラワークを観察する癖がついています。この作品を撮るにあたって、まず脚本が仕上がった段階でカット割りやシーン割りをする前に撮影監督、美術監督と議論して、どのように撮っていくかを決めました。この撮影に入る前の半年間をそういうことに割きました。議論しながら徐々に撮影のスタイル、カメラワークを決めていったんです。そういう中であまり現代風、モダンすぎるカメラワークは我々が狙いたいものにふさわしくないと思いました。そして何度も考えた末、現地にロケハンに行った2日目くらいになってやっと、今日皆さんに観ていただいた通りの撮り方が定まってきました。
 
Q:映画祭のカタログにも監督はコメントされていますが、このプロットは小説から来ていて、中国社会のコネについて批判的、かつコミカルに描いていますね。監督のタッチはそれを残酷に、また全否定するのではなく暖かく描いているようですが、どのような意図があったのでしょうか。
 
監督:老舎先生は偉大な文学者でありますが、老舎がこの世の中、人間をどのように観察し、どのように見ていたかということを踏まえてこの作品を作りました。東洋人の持つ独特の文化がまず根底にあって、我々は歴史をどのように振り返り、判断しているのか、私は絶えず考えながら脚本を書いていきました。
脚本を書いていく中で老舎作品の持つ素晴らしさを感じるとともに、この作品が今の若い人にどのように受け取られるのかを考えました。今の若者は物質社会の中に生きていますが、そういう若者に何かしら啓発する力、呼び覚ます何かを老舎の作品が持っていると思いました。この老舎の作品は1940年という古い時代を描いていても、今の若者にも通じる力も持っている、そんな魅力があると思いました。
 
※以下、ラストシーンについての言及があります。ご注意ください。


 
 
Q:最後シーンの女性の後ろ姿がとても美しかったのですが、どういった意図があったのでしょうか。
 
監督:アジアの我々共通の文化的な感覚として、女性の姿、女性になにか託すということが芸術の表現形式として多いです。例えば昔の司教であるとか楚辞、そういう中にもそのような芸術の表現方法がでてきます。芸術の真のイメージをどういう風に表現するかということ、抒情性を女性の姿で表現するのはアジアの伝統的な表現方法でもあります。このミンシアという女性が唯一、自分の夫に「ここに残りましょう、出ていきたくない」と言いました。この彼女の思い、映画で表現したい内容を彼女に託したいと思って、このシーンを最後にもってきました。

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