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2016.11.01 [イベントレポート]
「この作品を観ていただいた方々には、気持ちよく幸せな気分になっていただきたい」コンペティション部門『浮き草たち』-10/30(日):Q&A

浮き草たち

©2016 TIFF

 
10/30(日)、コンペティション部門『浮き草たち』の上映後、アダム・レオン監督、グレース・ヴァン・パタンさん(女優)、ジャムンド・ワシントンさん(プロデューサー)をお迎えし、Q&Aが行われました。⇒作品詳細
 
アダム・レオン監督(以下、監督):本日はお越しいただきありがとうございます。初めて東京に来て、TIFFに参加することができて大変光栄です、ありがとうございました。
 
グレース・ヴァン・パタンさん(以下、グレースさん):皆様お越しいただいてありがとうございます、大変光栄です。みなさん楽しんでいただけたなら嬉しいです。
 
ジャムンド・ワシントンさん(以下、ジャムンドさん):本当にここに来られたことを心から光栄に思っております。この作品を見ていただいてありがとうございました。気に入っていただけたなら嬉しいです。
 
司会:監督の前作をカンヌで拝見しましたが、監督は青春時代の男女の関係、恋人同士になる前段階の男女の関係を描かれるのが好きなのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
 
監督:おっしゃる通りです。確かにジェンダーダイナミクス的なことに関心があります。その男女間の、一生一緒にいるというほどではなくて、お互いの人生をいかに変えていくのか、ということに大変関心があります。今回出演しておりました、ダニー役のカラム・ターナーさんのガールフレンドが言っていたんですけれど、二人が一緒に動いていることは、自分たちのためであって、それ以降のことは自分たちではなくて、他の方たちのため、というようなことでした。
 
Q:主演の二人が爽やかで魅力的だったのですが、グレースさんとカラムさんをキャスティングした経緯を教えてください。
 
監督:製作資金を調達している間に、この作品について説明していたんですが、主演は画面から飛び出すような二人です、と説明をしていました。この役割というのはトリッキーで作品そのものとしては楽しい作品にしたいんですけれども、出ている二人のキャラクターというのは、ほとんどの間ぜんぜんハッピーではないんですね。演じる方には精神的にも、何かに抑え込まれないというか、囚われないような人たちが必要で、それがまさにこの二人、グレースとカラムにはあって、なかなか見つけ難い逸材だと思います。
 
Q:グレースさん、この話が来た時の気持ちを聞かせてください。
 
グレースさん:私はこのストーリーと、キャラクターに瞬時に恋に落ちてしまいました。このエリーという役柄に対して、表面上だけでは読み切れない深みがあるということに興味を持ちました。この役を演じることに非常にワクワクしましたし、アダムや、いろいろな方とご一緒できて、素晴らしい体験となりました。
 
Q:二人の関係のもどかしさというか、見ているこっちがじれったくなるような気持でしたが、二人の間の演出とか、演技で気を付けたところ、大切にしたことなどをお聞きしたいです。
 
監督:この作品は、自分たちの人生に囚われてしまっているけれども先に進まなければならない、というような二人を描いています。この二人が出会うことによって先に進めるようになる、しかも二人で一緒に、という作品です。ジャムンドと私がこのストーリーを作ったとき、できるだけ素晴らしいロマンスになってほしいと思っていました。しかもそれをモダンで純粋な形にしたいと思ったんです。ラストはもどかしくてイラっとするのではなく、出来るだけハッピーに楽しく終わって欲しかったんです。ただラストまでの二日間というのが、二人にとってはものすごく長い二日間で、シャワーも浴びてないし、まだちょっとそこまではいけないな、みたいなところもあったので、そういう感じになっているんですが、ここで重要なのは二人で一緒に先に進めるようになった、ということなので、それは描けていたかなと思います。
 
グレースさん:作品の最後のところで、おそらくエディーはダニーの中に愛を見つけていたと思うんですけれども、その時点で彼女はどういう愛のカタチなのかっていうことに確信が持てていないと思うんです。なので私の演じ方としては、彼のことを愛しているというのでもないし、彼のこと好きだけどずっと友人でいたい、という事をはっきりと表現したいわけでもなくて、それはやっぱり二人で決めることだと思いますし、ご覧いただいたみなさんに決めていただくことだなと思っております。
 
Q:キスをして「あっ、ごめん!ごめん!」「いやいや…」という、あそこが最高だと思うんですけど、撮影はすんなり行きましたか?
 
監督:ロケーション的に制約が多い撮影だったので、なかなか難しかったんです。その制約の中でできる事という意味ではすごくオープンで撮らなきゃいけなかったんです。
 
司会:何か起きても受け入れるような演出、だったということですね。
 
監督:なんでもありではなかったです(笑)。ジャムンドとどういうエンディングにするかというのはかなり話をしておりまして、最終的にこの二人は一緒に次の一歩を歩み始める。必ずしもサンセットに向かって歩みだすわけではないけれど、一緒に歩みだすんだ、ということを話していたんです。セット上ではこの日の撮影時間がものすごく限られていたので、事前にリハーサルに時間をかけてやって、その日の朝もリハーサルをして、そして本番に挑みました。
 
Q:ロケーション中も問題があったと言われていましたが、それ以外の撮影のトラブルや問題などをお伺いできますか。
 
監督:どのシーンもそれぞれの難しさと色々なチャレンジがあったんですけれど、素晴らしいチームに支えられていたので、私自身はそんなに厳しさを感じることはありませんでした。電車のシーンは特に制約があって正確に時間管理を行わなければならないとか、電車が来るまでの短時間に捕まったりしないように少人数で撮影しなければならないということがあって、タイミングというのが難しかったんですが、ジャムンドもプロデューサーもすごく余裕をもって組んでくれたので、しっかり準備をすることができました。通常アメリカのインディペンデント系映画ですと、半分くらいの期間で撮るんですけれど、メンバーが少なかったので、ゆとりをもって撮影をすることができました。
 
Q:このストーリーを書いた時どのようなインスピレーションがあったのか、どういうメッセージを作品を通じて伝えたかっのか教えていただけますか?
 
監督:ジャムンドと私でこのストーリーを作ったのですが、私たちは映画で恋に落ちる、いわゆるハリウッドロマンス的なものからインスピレーションを受けています。皆さんに対してのメッセージは、これは見ていた皆さんに判断していただきたいのですが、できればこの作品は観ていただいた方々には気持ちよく幸せな気分になっていただきたい。それに加えて、アーティスティックにも感動していただきたい、そういったところも感じてほしい、というように思っています。映画というものはその両方ができると思っていて、そのようにできていれば嬉しいです。

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