リストラ計画が進行する繊維工場。様々な背景と事情を持つ女性労働者たちは結束して交渉にあたるが、工場側は奇妙な提案を出してくる。受け入れることはたやすいと思われるこの条件に、労働者のリーダー格の女性が異を唱え、場は荒れていく…。
俳優として45年、監督としては25年のキャリアを誇るミケーレ・プラチド監督は、イタリア・マフィアを描く実録ものに強いイメージがあるが、今回は労働問題を扱う社会派作品となった。しかも、現代のイタリアのみならず、ヨーロッパ全土にも通じる移民映画でもあり、そして女性映画である。様々な出自の女性労働者たちの存在が現在の欧州のリアルな状況を象徴しており、利害の異なる集団の議論の展開は『12人の怒れる男』(57)を彷彿とさせる。その議論をリードする労働者のリーダーに扮するオッタヴィア・ピッコロは、1970年にカンヌ映画祭主演女優賞(『わが青春のフロレンス』)を受賞している名女優であり、今作でも出色の存在感を放っている。揺れ動く人間心理を見事なキャスティングで描く、スリリングな集団劇である。
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