『劇場版デジモンアドベンチャー』
1999年 | 21分 | カラー
子どもにしか見えないものがある
細田守監督の劇場デビュー作。東映アニメフェア3本立ての1本として公開された。東京の光が丘団地を舞台に、「選ばれし子供達」と誕生したばかりのデジモンとの初めての遭遇を描く。直後に放送されるTVシリーズの前日譚的要素を、20分に凝縮して提示する短編企画であった。団地の建物と怪獣の大きさの対比、室内の生活感を徹底したリアリズムで描き、信じられないものを見た子供たちの感性の差を示すなど斬新な演出が注目された。
監督:細田 守、原案:本郷あきよし、脚本:吉田玲子
キャスト:藤田淑子、坂本千夏、荒木香恵
『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』
2000年 | 41分 | カラー
ネット時代に起きる新たな奇跡
細田守監督の演出力を決定的に印象付けた中編で、TVシリーズの後日談として東映アニメフェアで公開された。ネットに誕生した新種のデジモンが進化してインフラを攻撃して世界を混乱に陥れるなか、「選ばれし子供達」が対策に立ち上がる。インターネットとコンピュータが日常化し始めた20世紀末のリアリティを描いた。クライマックスではネット世界との交錯で起きる「奇跡」が提示され、理にかなった逆転プロセスが新鮮な感動を呼ぶ。
監督:細田 守、原案:本郷あきよし、脚本:吉田玲子
キャスト:藤田淑子、坂本千夏、風間勇刀
『おジャ魔女どれみドッカ~ン!(40話「どれみと魔女をやめた魔女」)』
2002年 | 24分 | カラー
時を超える哀しみの物語
シリーズ4年目の人気TVアニメで、細田守が各話演出で参加したエピソード。自分の進路を見失ったどれみが、年をとらない元魔女の未来(声:原田知世)と出逢う。長時間かけてゆっくり動くガラス細工に「時の移ろい」を象徴させ、「魔女になること」の意味を問いかけるなど、哲学的な含みを多くもつ異色作である。本作を観た丸山正雄プロデューサー(当時、マッドハウス取締役社長)との出逢いが『時をかける少女』につながった。
演出:細田 守
キャスト:千葉千恵巳、原田知世
『明日のナージャ(OP、ED)』
2003年 | 4分 | カラー
旅と舞台の躍動が待っている!
細田守の演出テクニックが堪能できる短編。20世紀初頭、欧州各地でダンスや歌を学んだ少女ナージャが母を探して旅を続けるという、少女向け大河ロマンの要素を凝縮している。オープニングは広い世界へのあこがれや旅先での人との出逢いを描写し、3D的なカメラ移動を多用してダイナミックさを強調している。逆にエンディングはカメラをFIXと水平移動に限定し、各国の民族衣装に着替えるナージャを鏡に映して静かな印象を残す。
演出:細田 守
キャスト:小清水亜美、一条和矢、折笠富美子
『村上隆作品 SUPERFLAT MONOGRAM』
2003年 | 5分 | カラー
村上隆×ルイ・ヴィトン×細田守
プロモーション用短編アニメーション。ファッションブランドのルイ・ヴィトンとアーティスト村上隆のコラボレーションの一環として製作された。東京の表参道で不思議な生物と出逢った少女は、異世界の旅へ導かれる。村上隆が提供した「スーパーフラット」のコンセプトを伝えるため、劇場版『デジモンアドベンチャー』で注目していた細田守を指名し、東映アニメーションの精鋭スタッフが結集することで実現した。
監督:細田 守、原案/監修:村上 隆、作画監督:中鶴勝祥、CG監督:松浦義孝、音楽:FPM、プロデューサー:高城 剛、エグゼクティブ・プロデューサー:LVMH Louis Vuitton
制作:東映アニメーション
『村上隆作品 The Creatures From Planet 66 ~Roppongi Hills Story~』
2003年 | 5分 | カラー
六本木ヒルズ開業への祝祭感
東京の複合施設・六本木ヒルズの2003年4月開業に際して作られたプロモーション用短編アニメーション。『SUPERFLAT MONOGRAM』に続き、アーティスト村上隆のコンセプトを細田守が映像化した。一部関係者をモデルにした「ロクロク星人」と呼ばれる村上隆のキャラクターたちが、完成した六本木ヒルズを来訪する。技法はフルCGで、オープン用のCMフィルムと同時制作された。ネット公開されていないレア映像である。
監督:細田 守、原案/監修:村上 隆、音楽:坂本龍一、プロデューサー:高城 剛
制作:東映アニメーション
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