侵入者から妻への暴行を止められなかった男が、自責の念に苦しみ次の行動を思い悩む。妻も暴行された事実を隠し、二人の間には重い空気がたれこめる。極限状態に置かれた人間心理の奥底を見つめるスリラー。
短編時代からカンヌ映画祭の常連であったデュトラ監督は、処女長編『Hard Labor』(11/フリアナ・ロハスと共同監督)が同映画祭の「ある視点」部門に選出された。収入を失う危機に直面する家族の物語にホラーテイストを加味した作品であったが、監督は長年に渡り日常の中に潜む恐怖に関心を寄せている。3作目となる本作において、恐怖のレベルは異常事態下における夫婦間の心理戦へと進化し、パラノイア的なモノローグと計算されたカメラワークが見事に緊迫感を高めている。原作のセルジオ・ビジオは極限状態における濃厚な心理サスペンスを得意とするアルゼンチンの作家で、作品の多くが映画化されている(09TIFF審査員特別賞受賞作『激情』等)。
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