夫婦として長年連れ添うヨエルとエヴァ。あるときヨエルは全くおぼえのない自分名義の家の存在を知る。貧しい人々が住む地区にあるその場所を訪れたヨエルは、住人の見知らぬ男が妻エヴァと親しいのに驚く。謎を解明しようとするヨエルの人生は大きく動いていく…。ホロコーストの凄絶な記憶と現在を往還する、静謐で陰影に富んだ大人のドラマ。ハイム・タバックマン監督はデビュー作“Eyes Wide Open”(09)がカンヌ映画祭で上映されるなど注目され、第2作となる本作はイスラエルのほかにポーランド、ドイツなどヨーロッパ諸国も参加して製作された。「(夫婦という)赤の他人と人生を共に歩むうえでの葛藤が、劇的な崖っぷちに到達する瞬間」を描きたかったと監督は語っている。
【監督メッセージ】
人と長い付き合いを維持することについての自分自身の経験から、私はカップルの人生のひと時を描くことに興味がありました。そのひと時とは、赤の他人と人生を共に歩むうえでの葛藤が、劇的な崖っぷちに到達する瞬間のこと。カップルとして生きていくために多大なる犠牲を払うことを迫られる瞬間のことです。