1970年代に花開いた台湾フォーク&ロックを牽引したベテラン歌手たちが40年の時を経て再集結。一大ライブの幕が開くまでを個々のミュージシャンに密着して描いた音楽ドキュメンタリー。彼らの歌は今でも若い世代に伝わるだろうか。中国と台湾の関係、アメリカの文化的な影響などのテーマを盛り込みながら、ミュージシャンたちの人生の軌跡も挿入されていく。先住民の魂を歌う者、病を押してステージに登る者もいる。日本のポップスの歴史との同時代性にも驚かされる。ホウ・チーラン監督はオムニバス映画『ジュリエット』(TIFF2010出品)の一編『ジュリエットの選択』や『狼が羊に恋をするとき』(12/公開待機中)などが紹介されている。
【監督メッセージ】
台湾の大衆音楽や文化の歴史において、フォークソングは人間のアイデンティティ探求のきっかけになりました。私は、フォークソングの“歴史”を描くというよりも、若い頃にその歌を書いた人を追ってみたいと思いました。撮影中、私が確かめてみたかったのは、彼らがまだ自分の歌を恋しいと感じているのかどうか、まだ作詞や作曲に情熱を感じているのかどうか、生きる姿勢は昔と同じくらい清廉潔白であるかどうか。このドキュメンタリーが、彼らの歌や記憶、そして40年を経た後の人生に宛てて送られたポストカードのように感じてもらえればうれしいです。