モルッカ諸島の海辺の村。10歳の少年サラワクは姉のビナイヤとふたりで暮らしていたが、姉が突然失踪してしまう。彼女を探すためにサラワクはこっそり村を抜け出す。旅の途中でジャカルタから来た20歳の少女サラスと出会い、一緒に旅をすることになる。実はサラスもまたビナイヤと同じ理由で街を出てきたのだった。やがて彼らはビナイヤを見つけるが…。女性の台頭著しいインドネシア映画界にあって、プリタギタ・アリアヌガラ監督も大作『カルティニ』の助監督などを経て本作でデビューした期待の新鋭である。美しい海に囲まれたモルッカの風景と、婚外子を生んで抑圧される女性たちの姿のコントラストが印象に残る。ビナイヤ役のライハアヌンは『ラブリー・マン』『ディアナを見つめて』にも出演。
【監督メッセージ】
人間の複雑さは大都市特有のものではなく、田舎町にもあるものだと本作では描いています。愛は、その重さゆえに、お荷物になってしまうということを私は実体験で学びました。自分の決断は、結果的に周囲の人の人生にも影響します。本作の舞台の大半は、モルッカ諸島というジャカルタから8時間の距離にある開放的な土地です。華やかな首都から遠く離れても、同じような問題が起きているのです。社会的拒絶の恐れや女性問題は、場所に関わらず存在するのです。
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