青年アリは、離れて暮らす妹を気にかけるが、里親が会わせてくれない。業を煮やしたアリは妹の奪回を企み、極端な行動に走る…。
前々作『Jin』は少女兵士が森でサバイバルをするストレートな物語、そして前作『歌う女たち』では森で歌う女性たちに平和を象徴させ、スピリチュアルな世界を描いたレハ・エルデムであるが(両作とも13年TIFFにて上映)、本作はそのふたつの世界を融合させて、さらなる高みへと向かう作品である。森に入った兄妹は、次第に自然と一体化していくが、そこでは、かたつむりも水牛もヤギも同格の存在である。木々でさえも体の一部となる。やがて生と死も、昼と夜のように、ひとつのサイクルの中の地続きなものである様が、圧巻の映像美で描かれていく。アニミズム的な神性が美しく浮かび上がるエルデム監督の新たな傑作。
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