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2016.10.27 [イベントレポート]
「この映画がそういった労働者の権利の危機的な状況に対して『NO』と言える力になることを祈っています。」コンペティション部門 『7分間』 -10/26(水) Q&A

7分間

©2016 TIFF

左からアンブラ・アンジョリーニ(女優)、オッタヴィア・ピッコロさん(女優)
 
10/26(水)、コンペティション部門『7分間』の上映後、オッタヴィア・ピッコロさん(女優)、アンブラ・アンジョリーニさん(女優)をお迎えし、Q&Aが行われました。⇒作品詳細
 
 
オッタヴィア・ピッコロさん(以下、ピッコロさん):みなさんありがとうございます。現在イタリアにて本作品をプロモーションしているところですが、このような大きな映画祭に参加することができてとても嬉しいです。アリガト!
 
アンブラ・アンジョリーニさん(以下、アンジョリーニさん):コレテ・・・ウレシイデス(笑)。日本語頑張ってみたわ(笑)。 私もピッコロさんと同じようにこの映画祭に来ることができて光栄です。この映画はイタリアだけではなく、現在危機にある世界中の労働というものにとって、とても重要な作品だと思います。
 
Q:ピッコロさんは舞台でも同じ役を演じていらっしゃいますが、この作品が映画化されると決まった時には既にこのプロジェクトに参加する予定だったのでしょうか?
 
ピッコロさん:はい。舞台をやっていたので、監督がこの映画を撮ることを決めた時には、説明する必要もないということで自然と映画にも出演することになりました。舞台と映画では台詞などは被りますが、やはり違ったものがありますね。
 
Q:では、舞台には参加していなかったアンジョリーニさんはどのような経緯でこの映画に関わることになったのでしょうか?
 
アンジョリーニさん:この作品の舞台版はボローニャで観ていました。その時から私も演じたいと強く思い、運命を信じていたところ、監督から声をかけて頂きました。その情熱のおかげで、この役をとても活発な、怒りに満ちたかたちで演じることができました。
 
Q:ピッコロさんは『アラン・ドロンのゾロ』でアラン・ドロンと共演された方でしょうか?
 
ピッコロさん:はい、そうです。42年前のことですね。
 
アンジョリーニさん:イエス・オア・ノー?
 
ピッコロさん:ノー!(笑)冗談よ。ええ、私はあの女優です。この作品(『7分間』)で私の演じたビアンカは常にノーと言うから、ノーと言ってみただけよ。ビアンカは長い間いろいろな経験、葛藤をした結果やっとノーと言うことができたの。40年前ならイエスと言っていたかもしれないわ。そういった発言力をもった人間に私もなりたいと思うわ。
 
Q:労働の映画ということで、長時間残業をさせて残業手当を払わないとか、有給休暇を絶対取らせないとか、働きすぎて死ぬ人がいるような企業が日本にもあることに関してはどのように思いますか。
 
ピッコロさん:日本の状況はよくわからないですが、どちらかといえば完璧な組織力といったことを知っています。ただ労働の問題は世界中であることで、日本とか中国とかイタリアとかだけであることではないわけです。
労働者の権利というのは労働組合ができて以来、規則を守らせようという形でずっとやってきているわけですが、今世界中に大きな貧困があって、そういう中ではしばしば守られていない状況が生まれていると思います。それは、単純に工場だけではなくて、オフィスやテレビ、映画、いろんな状況で起こっていると思います。
この映画がそういった労働者の権利の危機的な状況に対して「NO」と言える力になることを祈っています。
 
Q:タイトルの7とか、従業員の代表が11人とか、奇数がすごく多く使われていると感じました。イタリアの人にとって奇数が居心地の悪い数だとか、特に7という数は不吉な数と言われているそうですが、そのあたりと何か関係がありますか。
 
ピッコロさん:いいえ。
 
アンジョリーニさん:7が不吉な数字というのは聞いたことがない。ローマには「7つの丘」というのもあって、不吉な数字ではないです。
 
ピッコロさん:この作品の原作となる戯曲を書いたステファノ・マッシーニが、この映画の共同脚本もやっていますが、『12人の怒れる男』という作品にインスピレーションを受けたということです。
 
アンジョリーニさん:8分でも同じこと。この映画は働き口を奪われたらどういうことになるか、子供を産めなくなるとか家族を養っていけなくなるとか、そういうことを訴えるための映画です。多分アメリカだと思いますが、鶏を生産しているところで、労働者たちがトイレに行ってはいけないと会社から言われて、大きなおむつをしなければならなくなったそうです。この映画はそうした労働者の声なき声を伝える、彼らは声を出して訴えることができないので、そうした声を伝えるために撮られた映画です
 
Q:会議室のシーンなどでは女優の皆さんで表現の工夫をされましたか。それとも、脚本や監督の演技指示によるものが大きかったのでしょうか。
 
ピッコロさん:素晴らしい脚本があるときは、映画を撮るのは割と簡単なことだと思いますね。やはり書かれた物語が非常に重要で、自分自身は即興とかインスピレーションというものはあまり信じていません。それは役者全般言えることだと思いますが。この映画の役者はみんな素晴らしいです。
 
アンジョリーニさん:みんなじゃない(笑)。
 
ピッコロさん:そうね、女優のほうが男優よりもいい。
 
アンジョリーニさん:私はいろんなところへ行って、毎日ボトルを割る練習をしました。必要でしたら皆さんのうちへ行って、ボトルを割ります。太郎さん(通訳)の家には必ず行きます。ボクシングの練習もしました。皆さん、気をつけてくださいね(笑)。
ミケーレ・プラチド監督は非常に大きな仕事をさせてくれたと思います。私たちに、その人物を自由に生きる、という自由をくれました。その人物像を渡すのではなくて、私たちがどんな人間を選びたいか、を選ばせてくれました。

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