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2016.11.07 [イベントレポート]
「暴力的ですが、そういうエンターテイメントもあっても良いかなと思っています。」特別上映『GANTZ:O <プレミア英語吹替版>』-10/29(土):Q&A

GANTZ:O

©2016 TIFF

 
10/29(土)、特別上映『GANTZ:O <プレミア英語吹替版>』の上映後、川村泰監督をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
川村泰監督(以下、監督):こんなに夜遅くに観ていただき、本当にありがとうございます。
 
司会:この作品はとても大規模な作品でしたが、どのくらいの期間をかけて作られたのですか?
 
監督:最初のパイロット版を作り始めたのは2011年の夏ぐらいからなので、そこから数えると5年ですが、実制作で言うと2年近く、1年半ちょっとくらいかかっています。
 
司会:その中で、原作者の奥浩哉先生といろいろなやり取りがあったと思いますが。
 
監督:意外にも先生からの細かいオーダーはありませんでした。Xガンなどのガジェット系のリデザインとロボットの必殺技を考えていただきましたが、あとはほとんど自由に作らせてもらいました。
 
司会:先生はもうご覧になられたのでしょうか?
 
監督:はい。いわゆるアニマティクスと言われる、少しローポリゴンのプロが観るためのものを先生は何回もご覧になられていて、その時からずっと喜んでいただいていたことが心の支えになって頑張りました。
 
Q:原作では、加藤が玄野を100点で助けるという動機から大阪編が始まっていますが、本作では違います。この相違について監督はどのように考えて作られたのでしょうか。また、奥先生はどう評価しておられるのでしょうか。
 
監督:先生にはずっと喜んでいただいていて、Twitterでも何度も何度も褒めていただいています。手放しで喜んでいただき、すごく嬉しいです。
それから相違点についてですが、もともと「GANTZ」の原作は37巻くらいありますよね。大阪編は、その中の20巻くらいからなので、そこからいきなり始めるのはどうかなぁ……というところがありました。そのあたりを、脚本を担当された黒岩さんが上手くまとめてくれました。黒岩さんも「GANTZ」が大好きですし。原作の動機とは少し変わっていますが、それでも「GANTZ」らしさみたいなものを何としても保とうとした脚本になっています。
 
Q:私はギリシャから来たのですが、本当に楽しく観させていただきましたし、ヨーロッパや欧米の方たちにも観ていただけると良いなと思いました。レイティング(PG12)を見て、マイルドな子供向けのアニメかなと思っていたら、バイオレントな部分があって、良い意味で予想を裏切られてとても良かったと思います。ただ、私は大人なので十分楽しめてよかったのですが、子供が観るにはどうなのでしょうか?日本のレイティングは欧米と異なると思います。欧米だと、この映画はかなりバイオレントなのでレイティングも変わってくると思います。
 
監督:おっしゃる通りで、各国のレイティングのルールで観ていただくしかないと思っています。もともとR15くらいでという話はあったのですが、少し(暴力的な部分を)抑え目にしたら、ぎりぎり大丈夫だということでPG12になりました。たしかに暴力的だと思います。ただ、そういうエンターテイメントもあっても良いかなと思っています。
 
Q:原作にはない別のストーリーは考えなかったのでしょうか。
 
監督:もともと東京編と大阪編を最初に考えていたのですがが、予算の都合というか、先生の世界観のスケールがあまりにも大きいので、抑えて大阪編になりました。
 
Q:韓国からの旅行中で、良い機会だと思ったので観に来ました。技術的に重要なポイントはありましたか?
 
監督:今回、『アバター』でも使っているパフォーマンスキャプチャーという、表情の動きから指先まですべて同時に記録するキャプチャー方式を取っていて、それが大きな挑戦だったと思います。すごく自然に芝居をデータとして記録できますし、私の演出も実写と同じようにできました。そこが技術としての重要なポイントになります。
 
Q:関西から見に来ています。関西人で中高年以上の人だったら、いつも吉本新喜劇を見て、岡八朗さんを始めとした、劇中に登場するいろんなキャラクター(の元ネタとなった人物)のギャグにも親しんできたので懐かしい気持ちになりました。東京の人や外国人の方に対して、こうしたギャグやユーモアを見せるにあたって工夫されたところはあるのでしょうか。
 
監督:劇中の岡八郎はいきなりあのようなセリフを吐くので演出的な不安はありました。実際「GANTZ」の中でも、ああいったシュールな展開が時々あるので、それもアリかなと思いました。また、(原作「GANTZ」で)岡八郎は何度もクリアしているし、ちょっとおかしいと思うところもあって良いかなと、ある意味開き直って入れてみました。
 
Q:原作をベースにして映像作品を作るときに、その映像作品に監督自身のこだわりを入れていると思うのですが、ここに注目して観てほしいというところがあったら教えていただきたいです。
 
監督:こだわりポイントはたくさんあるのですが、実際にはあり得ないことが起こる映画なので、例えば、車の窓ガラス越しだったり、木の幹だったり、なるべく何か越しの画を入れることで臨場感を持たせようと、いろいろなところでこだわってやっています。その典型が、天狗がバーンと出てきた後、血が車の窓ガラスにバシャッとなる場面です。ああいう場面があると本当にそこにいるような感じになるので、たくさん入れています。画的にこだわったポイントの一つです。

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