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2016.11.07 [インタビュー]
「いわゆるタミル映画はもっとドラマティックですが、この作品は国際的なテイストで作りました。」ワールド・フォーカス『ファイナル・ラウンド』-10/30(日):公式インタビュー

ファイナル・ラウンド

©2016 TIFF

2016年10/30(日)ワールド・フォーカス部門『ファイナル・ラウンド』シャシカーント・シヴァージー(プロデューサー|左)、R・マーダヴァン(俳優|右)にインタビューを行いました。
作品詳細
 
『きっと、うまくいく』で3バカのひとりを演じたR・マーダヴァン。彼の新作『ファイナル・ラウンド』が第29回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映され、来日した本人とプロデューサーのシャシカーント・シヴァージーに話を伺った。ボクシングの鬼コーチが貧しい家の女の子を一流のボクサーに育てるまでを描く本作は、スポ根映画でありながらもウブな女の子の恋心を活写した好編。インド映画ならではの歌と踊りの見せ場もある、笑って泣ける王道の娯楽作でもある。
 
──マーダヴァンさんは若い頃日本に来たことがあるそうですね。
 
R・マーダヴァン(以下、マーダヴァン):28年前の冬に一度来たことがあります。ずっと日本には憧れを持っていて、伝統や規律を重んじて逆境に対処する民族性に感心していました。当時、僕は交換留学生としてカナダに行き、そこでカワハラ・ヨシカズという日本人と知り合いました。彼と一緒に「悲しみにさよなら」(安全地帯)を歌ったのは懐かしい思い出です。カナダから帰国する際、カワハラさんに付き添われて日本に立ち寄り、3週間ほど滞在しました。当時と比べると、日本もだいぶカラフルになりましたね(笑)。
 
──本作への出演はどんな経緯で決めたのでしょう?
 
マーダヴァン:ずっとロマンティック・ヒーローみたいな役しか演じてこなかったから、実年齢に見合った役をやりたかったのです。3年ほど仕事を休んで、これまでとは違う役柄で商業的にも成立する作品を探していたところ、スダー・コーングラー監督が本作の脚本を持ってきてくれました。下町の女の子が努力してボクシングのチャンピオンを目指すストーリーにピンと来てオファーを快諾したのです。
 
──監督とはマニ・ラトナム監督の撮影現場で知り合ったのですか?
 
マーダヴァン:マニ・ラトナム監督の作品に出て僕はブレイクしましたが、たしかその2作目くらいからスダーが助監督で入ってきて、コスチューム等を担当していました。懸命な働きぶりで、当時から彼女のことをよく知っていました。僕も仕事に厳しい方で、助監督のウケがあまりよくなかったりするのですが、今回、彼女が丁寧に脚本の話をしてくれて意見を聞いてくれたので、そのアプローチの仕方にも感動しました。
 
──せっかくなので、恩師のマニ・ラトナム監督についてもひと言いただけますか。
 
マーダヴァン:実はしばらく休みをとるように勧めてくれたのが、このマニ・ラトナム監督です(笑)。マニ・ラトナム監督の映画に出演した俳優で、悪い評価を受けた人はひとりもいません。俳優にとってはセーフティネットみたいな監督です。ご存知のように彼の作品は世界中の映画祭で受賞し、『ナヤカン/顔役』(87)にいたってはタイム誌が選ぶオールタイムベストトップ100に選出されています。いろんなジャンルの作品を手掛け、しかもその全てを商業的に成功させている点で尊敬しています。
 
──ストーリーに惚れ込んだのは素の自分と重なる部分もあったからですか?
 
マーダヴァン:もちろんです。どの作品でも演じるキャラクターは自分自身と重なる部分があるものですが、今回演じたコーチ役はすごくキレやすかったり、周囲が仕事をちゃんとやらないといらついたりとか、すごく自分と重なる部分が多かったです。
 
──映画では筋肉改造したマッチョな肉体を披露しています。役作りのためにジムに通ったそうですね。
 
マーダヴァン:トレーニングは厳しかったけど、ジム通いは楽しかったなあ。1年半筋トレをして、一番筋肉がついたときは二の腕が邪魔になって歯磨きもままならないほどでした(笑)。僕はベジタリアンだから、ビルドアップする時も肉を食べなかったんだよ。そうして作りあげた自慢の肉体だったけど、撮影後1か月半もしたら元に戻ってしまい悲しくなりました。
 
──新進女性ボクサー役のリティカー・シンは、本当のキックボクサーだそうですね。
 
マーダヴァン:この作品の演技が認められ、彼女はインド最大の映画祭、ナショナル・フィルム・アワードで表彰されました。演技経験ゼロで、舞台に立ったことも撮影用のカメラも見たことがなかったのに! キャスティングの決め手は、キックボクサーとして素晴らしく、17歳のマディ役にぴったりという理由でした。実はこの役ついては女優にボクシングを覚えさせるか、ボクサーに演技を覚えさせるかで侃々諤々で、僕は後者を主張して監督も同意してくれた。でも彼女の起用に反対するプロデューサーもいて、結果的に何人も解雇することになったんだ。
 
──インド映画らしい歌と踊りの見せ場もありますね。アメリカンロック風の楽曲やミシェル・ルグラン風のバラードなど洗練された音楽が情感を盛り上げています。
 
シャシカーント・シヴァージー:作曲のサントーシュ・ナーラーヤナンは才能ある音楽家で、インド映画としてはかなり国際的なテイストになりました。音楽だけでなく作り方もです。いわゆる典型的なタミル映画はもっとドラマティカルですが、この作品は極力リアルにしたくて音楽も撮影も世界標準で製作しました。
 
──では、あえてタミル映画らしくない作品にしたわけですね?
 
マーダヴァン:タミル映画ではヒーローは常に正しく、間違っても人妻と寝たりしない。会議中にビールを飲んだりするのもありえない。こうしたタブーをたくさん盛り込んでいるところにも面白さがあります。
 
(取材/構成 赤塚成人)

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