第29回東京国際映画祭の“ARIGATO(ありがとう)”賞の授与式が11月3日、六本木・EXシアターで行われ、受賞した新海誠監督、高畑充希、妻夫木聡が出席した。さらに映画「シン・ゴジラ」のヒットが記憶に新しいゴジラにも、「世界に類を見ないキャラクターの最高峰」として同賞が贈られた。
同賞は、日本映画界に突出して貢献した人物に感謝の意を込めて贈られるもの。「家族はつらいよ」「怒り」などで存在感を放った妻夫木は、「僕自身、俳優の転機になった『ウォーターボーイズ』という作品で日本映画に触れて、日本映画の汗臭さと泥臭さを肌で感じた。映画はひとりで作っているものじゃなく、みんなで作っている。監督、キャスト、スタッフが一丸となって作っているから良いものが出来る。それから、映画に惚れてやってきました」と喜びを噛みしめる。そのうえで、「映画界の方々から、ARIGATO賞をいただけるとは思ってもみなかった。これを励みに、いちからスタートをきりたいなと思っております」と真っすぐな眼差(まなざ)しで語った。
主演を務めたNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」での活躍により「日本のヒロインに成長した」と評された高畑は、「ミュージカルから芝居の世界に飛び込んだので、そこから10年経って、映画の世界でこんな賞をいただけて、ゴジラさんと一緒に檀上に立つ日がくるとは夢にも思っていませんでした。とても幸せです」とニッコリ。「映画の現場に関われた数は少ないのですが、すごく良い現場に関われているので、これからもっと映画のことを知っていきたいなと思います。こちらこそありがとうございました」とさらなる飛躍を誓った。
最新作「君の名は。」が大ヒットを記録中の新海監督は、「受賞理由のお言葉を見ると『2016年にアニメーション界に新星現る』という風に書いていただいていたのですが、僕自身は、10年前から普通に作り続けてきました」と笑いを誘いつつ、「自分に出来ること、これからやりたいことは、これからも変わりません。今の観客は何が見たいのか、物語の追うべき役割は何なのか、そういうことを考えながら、変わらずアニメーション映画を作っていければ幸せだなと思います」と語る。そして「『君の名は。』というアニメーション映画にいただいた賞だとも思っております。僕だけの力ではもちろんなくて、優秀なスタッフ、神木隆之介くんや上白石萌音ちゃんといった素晴らしいキャストや『RADWIMPS』の息をのむような音楽があって、この映画が1000万人以上という想像もできないようなたくさんの観客に届いたのだと思います。この場をお借りしまして、『君の名は。』を見てくださった皆さんに心よりお礼申し上げます」と同作に関わったすべての人への感謝を示した。
そして、“11月3日・ゴジラの日”にめでたく受賞したゴジラは、長い尻尾と巨大をゆらして存在感を放つ。代理で挨拶した山内章弘プロデューサーは「会社の大先輩であるゴジラに素晴らしい賞をありがとうございました。日本では12年ぶりに『シン・ゴジラ』という作品で復活を成し遂げました。予想をはるかに上回るお客様に受けて入れていただきまして本当に感謝しております。海外でも上映が始まっておりますけれども、これからさらに日本を背負って、強く足踏んでいってほしいな思っております。ぜひともゴジラの復活を皆さんの目に焼き付けていただけたら」と期待を寄せた。